アルキメデスが、内接正多角形と外接正多角形から円周率の近似値を求めたのは有名ですよね。 その方法をヴィエタという数学者が初めて公式化した(http://www.pluto.ai.kyutech.ac.jp/plt/matumoto/pi_small/node5.html#SECTION00222000000000000000)という話をこのページで見つけ、微積分を使わないなら簡単だろう、と興味が湧いたので自分でも挑戦してみたんですが・・・
半径1の円の内接正n^2角形の面積をSとしたとき、n→∞とすればS=πとなることは直ぐにわかる。 正n^2角形を等しい辺が1の二等辺三角形に分割すれば(正方形なら対角線を引いて4つの直角二等辺三角形に分割する)、その底辺を弦とする中心角は“180°/2^n-1”、故にその二等辺三角形の面積は“(1/2)*1*1*sin(180°/2^n-1)=1/2*sin(180°/2^n-1)”。 その二等辺三角形の数はn個なので、 S=(2^n)*(1/2)*sin(180°/2^n-1)=(2^n-1)*sin(180°/2^n-1) また、n→∞ならS=πなので、 π=lim[n→∞] (2^n)*sin(180°/2^n)
という公式(?)が得られ、関数電卓でnを大きい数にして計算したら見事“3.1415・・・”が出てきたのですが、どうやらこの公式を展開すればヴィエタの無限積展開になるみたいなんですけど、その展開がさっぱりつかめません。 どなたか、妙案は無いでしょうか?
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6293.折角参考文献が紹介されているのですから |
名前:占星術師 日付:3月11日(火) 10時58分 |
これに関しては、そのpageで紹介されている文献の第9章を読むのが早いと思われ
>★ Petr Beckmann "A History of PI" 1971. >(邦訳. 田尾陽一・清水韶光 訳 「πの歴史」, 蒼樹書房, 1973年) >著者注: 円周率の歴史に興味があるなら買って損は無いでしょう.一般向けの本です.
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6301.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:nabeX 日付:3月11日(火) 16時42分 |
たくさん半角の公式cos2(x/2)=(1+cosx)/2を使う。
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6302.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:Takashi 日付:3月11日(火) 18時19分 |
>「πの歴史」 購入しようと思ったんですが、初版が古すぎて取り寄せられないと書店に言われてしまったもので・・・。
どうやら、正2^n角形の面積をS[n]とすれば、正弦の2倍角公式から、 S[n+1]=S[n]/cos(180°/2^n) という漸化式が得られたんですが、連分数の積になってしまってやはりヴィエタのような式にはなりません。
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6303.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:nabeX 日付:3月11日(火) 19時28分 |
2nsin(π/2n)→π as n→∞ で、 2nsin(π/2n) =2n-1sin(π/2n-1)/cos(π/2n) =2n-2sin(π/2n-2)/{cos(π/2n)cos(π/2n-1)} =… =2sin(π/2)/{Π[k=2 to n]cos(π/2k)} =2/{Π[k=2 to n]cos(π/2k)} ここでn→∞とすれば π=2/{Π[k=2 to ∞]cos(π/2k)} 2/π=Π[k=2 to ∞]cos(π/2k) が得られる。 an=cos(π/2n) とすればan>0より 半角の公式よりan=sqrt{1/2+an-1/2} となる。 2/π=Π[k=2 to ∞]ak でありa2=sqrt(1/2)より 2/π=sqrt(1/2)*sqrt(1/2+1/2*sqrt(1/2))*… といういわゆるヴィエタの公式を得る。
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6306.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:Takashi 日付:3月11日(火) 21時19分 |
nabeXさん、有難うございます。総積記号は使い慣れていないんでちょっと困惑しましたが、理解することはできました。 やっぱり、あの円周率πの近似値が自力(nabeXさんのお陰ですが)で出せるなんて感動モノですね。
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6314.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:中川 幸一 日付:3月12日(水) 15時52分 |
私が高1の時に提出したレポートに『円周率πの近似計算について』 と言うのがあります。 その方法はTakashiさんの考えているものに類似しています。 そのことを少し紹介します。ちなみにこのときの私のモットーはあくまで『初等関数のみで求めること』でした。用は微積分, 及び三角関数を用いないで表記すると言うことです。
ここで一言断っておくと, 半径が1の円に内接正2n+1角形を作って次々にその面積を求めてπの値を近似していくが, この時, 三角関数(半角公式)を使うので, 弧度法によりπが絡んでくるがπの近似を求めるにあたって何の影響もないと言うことです。
半径1の円に内接する正2n+1角形の面積をSとすると S=2n・sin(360°/2n+1) iff s2=22n・{1-cos2(360°/2n+1)}
一応ここでこの式がπに近づくことを証明しておきます。
<proof> 360°=2π iff 360°/2n+1=π/2n ここでπ/2n=θ とおくと, n→∞のとき, θ→+0 1/2n=θ/π より, lim[n→∞]_2n・sin(360°/2n+1) =lim[θ→+0]_(π/θ)・sin θ =lim[θ→+0]_π・((sin θ)/θ)=π・1=π ∴ s2=22n・{1-cos2(360°/2n+1)}=π2 <Q.E.D.>
ここで, nにk(k∈N)を代入して順にS2を求めていく。
そのときに, nを一つずつ大きくしていくと角を半分にしていくことと同じであるので半角公式を用いて順に計算を進めていく。 尚, このとき『冪級数の開平』という計算をしないといけないがここでは省略させて頂きます
あとはぐちゃぐちゃ計算していくと, n=1 S=2.000000000 n=2 S=2.828427125 n=3 S=3.061467459 n=4 S=3.121445152 n=5 S=3.136548491 n=6 S=3.140331157 n=7 S=3.141277251 n=8 S=3.141513801 n=9 S=3.141572940 n=10 S=3.141587725 n=11 S=3.141591422 n=12 S=3.141592346 n=13 S=3.141592577 n=14 S=3.141592634 n=15 S=3.141592649 n=16 S=3.141592652 n=17 S=3.1415926533 n=18 S=3.14159265352
というような結果になりました。 最後に一言付け足しておくと日本を代表する数学者, 和算家の関孝和先生が行った円周率の近似計算は『円の弧』で円周率を求めていました。私は『円の面積』で求めましたが, 計算の仕方, 及び途中式はかなり似たところがありました。
関孝和先生の求め方は『日本數學史講話』(昭和3年)を参照して頂ければ分かると思います。
かなり省略してしまい見づらくなってしまいまして誠に申し訳ありません。
http://8417.teacup.com/arith_math/bbs
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6324.Re: 円周率の無限積展開 |
名前:Takashi 日付:3月13日(木) 4時38分 |
中川幸一さん、有難うございます。 関孝和先生の方法は知りませんが、面積からの計算は一段落付けて、周(弧)の長さからの計算に挑戦しています。
半径1/2の円の円周の長さはπだから、それを正多角形で取りつくして行くという平凡な方法です。 内接正2^n角形の1辺の長さをs、その中心角を360°/2^nとすれば、余弦定理から s=√{(2/4)-(2/4)cos(360°/2^n)} s=(1/2)√[2{1-cos(360°/2^n)}] 故に、正n角形の周の長さCは C=2^n・(1/2)√[2{1-cos(360°/2^n)}] C=2^(n-1)・√[2{1-cos(180°/2^n-1)] n→∞とすればC=πなので、 π=2^n√[2{1-cos(180°/2^n)}] <lim n→∞>
実際関数電卓に打ち込めば3.1415・・・が出てきました。 nを大きくしすぎると平方根の値が限りなく0に近づいて面積のときより計算しにくいという欠点を持っていますが。(cosをsinに直せば解決できるが)
これを今展開しています。文献があまり無いので、『日本數學史講話』という本を探して参考にしてみたいと思います。
それと、チェビシェフ多項式の方もチェックしています。
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