漸化式と特性方程式に関する考察

疑問
 なぜ、特性方程式で、漸化式が解けるのか?

<隣接2項漸化式>
特性方程式
 漸化式 an+1=ban+c に対して、x=bx+c を特性方程式という。
解説
 もとの漸化式が
  an+1−α=b(an−α)
 の形になれば、an−α が等比数列になるので、まず、この形にすることを
 目指す。上式のカッコをはずして、
  an+1=ban−bα+α
 係数を比較して、
  c=−bα+α
  α=bα+c
 となり、αは方程式 x=bx+c の解となる。
 つまり、特性方程式の解を、もとの漸化式の両辺から引くと、等比数列を
 導ける。

<隣接3項漸化式>
特性方程式
 漸化式 an+2=ban+1+can に対して、x2=bx+c を特性方程式という。
解説
 もとの漸化式を
  an+2−αan+1=β(an+1−αan
 の形にすることを考えます。カッコをはずして、
  an+2=(α+β)an+1−αβan
 係数を比較して、
  b=α+β、 c=−αβ
 よって、2次方程式の解と係数の関係より、α、βは2次方程式
  x2−bx−c=0
 の解となる。逆に、特性方程式の解をα、βとすると、もとの漸化式は
  an+2−αan+1=β(an+1−αan
  an+2−βan+1=α(an+1−βan
 と書ける。
 初項、第2項をa1、a2 とすると、
  an+1−αan=βn-1(a2−αa1
  an+1−βan=αn-1(a2−βa1

 (α≠βのとき)
 両辺の差を取って、
  (β−α)an=βn-1(a2−αa1)−αn-1(a2−βa1
 より、
  n={βn-1(a2−αa1)−αn-1(a2−βa1)}/(β−α)
 (α=βのとき)
  an+1−αan=αn-1(a2−αa1
 両辺αn-1で割って、
  an+1n-1−ann-2=(a2−αa1
 これは、数列 ann-2 が等差数列であることを表している。
 初項は a1/α-1、公差 (a2−αa1)であるので、
  ann-2=a1/α-1+(n−1)(a2−αa1
 両辺 αn-2 を掛けて、
  an=αn-1a1+(n−1)(αn-22−αn-11
  n=(n−1)αn-22−(n−2)αn-11

<連立漸化式>
連立漸化式
 xn+1=axn+byn
 yn+1=cxn+dyn
は、隣接3項漸化式に帰着できる。

行列Aとおくと
 等比数列のよう
とおけるので、初項 x1、y1 に対して、
  ・・・(1)
となる。
ケーリー・ハミルトンの方程式
 A2−(a+d)A+(ad−bc)E=O
に、An-1 を掛けて
 An+1−(a+d)An+(ad−bc)An-1=O
よって、
 
となり、(1) より、
 
となり、隣接3項漸化式
 xn+2−(a+d)xn+1+(ad−bc)xn=0
 yn+2−(a+d)yn+1+(ad−bc)yn=0
を得る。これより得られる一般項 xn、yn はもとの連立漸化式を満たす。


つづく(かも)

「算数・数学」の部屋に戻る