関数電卓で三角関数を使う

最近は、Excel などの表計算ソフトで計算することが多いですが、
関数電卓はなんと言っても、手のひらサイズ。
しかも桁数も実務上遜色ないとなれば、使いこなさない手はない!

角度の設定
まず、角度の単位を設定する必要があります。
角度の単位とは、degree(度:1周が360度)、rad(ラジアン:1周が2π)のことです。
(ほかに grad というのもありますが、まず使いません)
微分するとか、サイクロイドを描くとか、テーラー展開するとかいうことでなければ、
degree が使い慣れていていいでしょう。単位の設定は、電卓のマニュアル参照。
どうしても rad しか使えないなどの場合は、
 角度(degree)=角度(rad)÷π×180
 角度(rad)=角度(degree)÷180×π
で、変換しましょう。

三角関数の計算のしかた
関数電卓で三角関数が正しく計算されるかチェックしましょう。
入力方法は主に次の2種類です。自分の電卓がどちらの方法か確認してください。
(1) 角度を入力してから [sin]ボタンなどを押す。(通常の電卓はこれ)
 sin 30°なら、[3][0][sin] と押す。
(2) sin30 と入れて [ENTER]または[=] を押す。(いわゆるポケコンのタイプ)
 sin 30°なら、[S][I][N][3][0][ENTER] と押す。
 または、その中間で、[sin][3][0][=] と押すものもあります。

 sin30°=0.5
 cos30°=0.866025403784
 tan30°=0.577350269189
などの値がちゃんとでるか確認しましょう。
※値が正しくないときは、「角度の設定」を見直してください。

逆三角関数の計算のしかた
関数電卓で逆三角関数が正しく計算されるかチェックしましょう。
入力方法はやはり次の2種類です。自分の電卓がどちらの方法か確認してください。
(1) 数値を入力してから [sin-1]ボタンなどを押す。(通常の電卓はこれ)
 Sin-1 0.5 なら、[0][.][5][sin-1] と押す。
  [sin-1]ボタンとは?
電卓によって違いますが、ボタン上か、その上下に [sin-1]または[asin]の文字が
あるはずです。たいていは、そのまま押してもダメで、[Shift]ボタンや[INV}ボタンを
押してから(機種によっては押しながら)そのボタンを押します。
この画像では、[sin]ボタンの上に sin-1の文字が見えます。
左上の[SHIFT] を押してから [sin] を押します。

(2) asin30 と入れて [ENTER]または[=]を押す。(いわゆるポケコンのタイプ)
 (asin は、arc-sine の略で sin の逆関数を表します。通常は、asin で通用しますが、
 他の名前で入力しないといけない場合もあり得ます)
 asin 0.5 なら、[A][S][I][N][0][.][5][ENTER] と押す。
 または、その中間で、[sin-1][0][.][5][=] と押すものもあります。

 sin-10.5=30°
 cos-10.5=60°
 tan-11=45°
などの値がちゃんとでるか確認しましょう。
※値が正しくないときは、「角度の設定」を見直してください。

三角関数と逆三角関数の間には、ちょうど反対の関係があります。
 sin 30°=0.5 ←→ Sin-10.5=30°
三角関数は、角度から辺の比を求める関数。
逆三角関数は、辺の比から角度を求める関数と言えます。

そもそも三角関数とは
 
上のような直角三角形を考えるとき、θ=∠BACについて、
 sinθ=BC/AC (θの対辺÷斜辺)
 cosθ=AB/AC (θを夾む2辺の比)
 tanθ=BC/AB (sinθ/cosθ)
と定義します。
これは、0<θ<90°の場合ですが、ここに少し書いたように
単位円を使って、一般の角度θについても三角関数を定義できます。
実務で使うなら、上の定義で十分でしょう。

三角関数の使い方1(角度から長さを求める)
例題:50cmのアームの一方を固定して、地面との角度が40°になるまで持ち上げたとき、
    高さhを求めよ。

上の sinθ=BC/AC の式に当てはめると、
 θ=40°、BC=h、AC=50
ですから、
 sin 40°=h/50 より、
 h=50×sin 40°です。
関数電卓で sin 40°=0.642787610
を得ると、 h=32.13938050
となり、約 32.1 mm ほどになります。

三角関数の使い方2(長さから角度を求める)
例題:50cmのアームの一方を固定して、もう一方を高さ30cmになるまで持ち上げたとき、
    地面とアームとの角度θを求めよ。

上の sinθ=BC/AC の式に当てはめると、
 BC=30、AC=50
ですから、
 sin θ=30/50=0.6 です。
辺の比から角度を求めるのには逆三角関数を使います。

関数電卓で Sin-1 0.6 を求めると、
 Sin-1 0.6=36.86989765
となり、約 36.9°ほどになります。

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