フォイエルバッハ(Feuerbach)の定理

三角形において その九点円内接円に内接し 傍接円に外接する。
関連定理:九点円の定理



証明
内接円と接することの証明
AB=ACのときは、明らかに、BCの中点で、接するので、AB>ACとします。

内接円に接する証明
図1 BC,CA,ABの中点をそれぞれD,E,Fとし、AからBCに下ろした垂線の足をG、∠BACの二等分線とBCとの交点をJ、CをAJに対して対称に移動した点(AB上にある)をH、AJとCHの交点をKとします。
また、内接円と、BC,CA,ABとの接点をそれぞれX,Y,Zとします。

図1

図2
図3
弦DGに立つ九点円の円周角(∠DFGで代表)は、
 ∠ACB−∠ABC
となります。なぜなら、三角形の外角の性質より
 ∠DFG=∠FDB−∠FGD
これにおいて、FD//AC(中点連結定理より)より、
 ∠FDB=∠ACB
また、GFは、直角三角形AGBの直角と斜辺の中点を
結んだ線なので、FG=FB であり、△BFGは二等辺三角形となり、
 ∠FGD=∠ABC
以上より、
 ∠DFG=∠ACB−∠ABC ・・・・・・(1)
DはBCの中点ですので、
 DX=(BX−XC)/2
   =(BZ−CY)/2
   ={(BZ+ZA)−(CY+YA)}/2
   =(AB−AC)/2 ・・・・・・(2)
△ACHはAC=AHの二等辺三角形であり、KはCHの中点であるので、△BHCと△DKCにおいて、中点連結定理より、
 DK=BH/2=(AB−AH)/2
   =(AB−AC)/2
(2) より、
 DX=DK ・・・・・・(3)
また、DK//BH より
 ∠DKJ=∠BAJ ・・・・・・(4)
∠AKC=∠AGC=90° より、4点A,K,G,Cは、同一円上にある。つまり、四角形AKGCにおいて、
 ∠KAC+∠KGC=180°
よって、
 ∠KGD=∠KAC ・・・・・・(5)
(4)(5)および、AJが∠BACの二等分線であることより、
 ∠DKJ(=∠BAJ=∠KAC)=∠KGD ・・・・・・(6)
図2 よって、接弦定理の逆より、3点K,J,Gを通る円を描けば、DKは、その円の接線となります。
方べきの定理より
 DK2=DJ・DG
(3)より、
 DX2=DJ・DG ・・・・・・(7)
図3 △AJCと△AJHの対称性より、JHは△ABCの内接円に接しその接点をLとします。
DLの延長線とこの内接円の交点(Lでない方の点)をMとすると、方べきの定理より
 DX2=DL・DM
(7)より、
 DL・DM=DJ・DG
方べきの定理の逆より、4点L,J,G,Mは、同一円上にあります。よって、四角形LJGMにおいて、
 ∠DJL=∠LMG ・・・・・・(8)
 ∠HLM=∠JGM ・・・・・・(9) 
△BHJにおける外角の定理より、
 ∠DJL=∠AHJ−∠ABC=∠ACB−∠ABC
(1)(8)より、
 ∠DMG=∠DFG
よって、点Mは、九点円上にあります。
次に九点円と内接円が点Mで接することを証明します。
点Mにおいて、内接円の接線MNを引くと、弦LMの両端に接線を引いたことになり、
 ∠NML=∠HLM
(9)より、
 ∠NMD=∠DGM
∠DGMは、DMを弦として九点円上に立つ円周角であり、これが∠NMDに等しいので、接弦定理の逆より、NMは九点円の接線と分かります。
以上より、内接円と九点円は、共に点Mにおいて、直線NMに接するので、この2円は接することが分かります。

傍接円に接する証明
図1 BC,CA,ABの中点をそれぞれD,E,Fとし、AからBCに下ろした垂線の足をG、∠BACの二等分線とBCとの交点をJ、CをAJに対して対称に移動した点(AB上にある)をH、AJとCHの交点をKとします。
また、頂点Aに対応する傍接円と、BC,CA,ABとの接点をそれぞれX,Y,Zとします。

図1

図2

図3
弦DGに立つ九点円の円周角(∠DFGで代表)は、
 ∠ACB−∠ABC
となります。なぜなら、三角形の外角の性質より
 ∠DFG=∠FDB−∠FGD
これにおいて、FD//AC(中点連結定理より)より、
 ∠FDB=∠ACB
また、GFは、直角三角形AGBの直角と斜辺の中点を
結んだ線なので、FG=FB であり、△BFGは二等辺三角形となり、
 ∠FGD=∠ABC
以上より、
 ∠DFG=∠ACB−∠ABC ・・・・・・(1)
DはBCの中点ですので、
 DX=(CX−XB)/2
   =(CY−BZ)/2
   ={(AY−AC)−(AZ−AB)}/2
   =(AB−AC)/2 ・・・・・・(2)
△ACHはAC=AHの二等辺三角形であり、KはCHの中点であるので、△BHCと△DKCにおいて、中点連結定理より、
 DK=BH/2=(AB−AH)/2
   =(AB−AC)/2
(2) より、
 DX=DK ・・・・・・(3)
また、DK//BH より
 ∠DKJ=∠BAJ ・・・・・・(4)
∠AKC=∠AGC=90° より、4点A,K,G,Cは、同一円上にある。つまり、四角形AKGCにおいて、
 ∠KAC+∠KGC=180°
よって、
 ∠KGD=∠KAC ・・・・・・(5)
(4)(5)および、AJが∠BACの二等分線であることより、
 ∠DKJ(=∠BAJ=∠KAC)=∠KGD ・・・・・・(6)
図2 よって、接弦定理の逆より、3点K,J,Gを通る円を描けば、DKは、その円の接線となります。
方べきの定理より
 DK2=DJ・DG
(3)より、
 DX2=DJ・DG ・・・・・・(7)
図3 △AJCと△AJHの対称性より、JHは△ABCの傍接円に接しその接点をLとします。
DLの延長線とこの傍接円の交点(Lでない方の点)をMとすると、方べきの定理より
 DX2=DL・DM
(7)より、
 DL・DM=DJ・DG
方べきの定理の逆より、4点L,G,J,Mは、同一円上にあります。よって、四角形LGJMにおいて、
 ∠HJB=∠GJL=∠LMG ・・・・・・(8)
△BHJにおける外角の定理より、
 ∠HJB=∠AHJ−∠ABC=∠ACB−∠ABC
(1)(8)より、
 ∠LMG=∠DFG
 ∠DMG+∠DFG=180°
よって、四角形DFGMは、九点円に内接し、点Mは、九点円上にあります。
次に九点円と傍接円が点Mで接することを証明します。
点Mにおいて、傍接円の接線MNを引くと、弦LMの両端に接線を引いたことになり、
 ∠NML=∠HLM
また、円周角より、
 (∠NML=)∠HLM=∠MGD=∠MFD ・・・・・・(9)
(1)(8)(9)より、
 ∠NMG=∠LMG−∠NML
  =∠DFG−∠MFD=∠MFG
∠MFGは、MGを弦として九点円上に立つ円周角であり、これが∠NMGに等しいので、接弦定理の逆より、NMは九点円の接線と分かります。
以上より、傍接円と九点円は、共に点Mにおいて、直線NMに接するので、この2円は接することが分かります。

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