やすさんからの質問1
問題
ユークリッドの定理5「二等辺三角形の底角は等しい」、定理16「三角形においてある角の外角は他の内角より大きい」を用いて
(1)定理「三角形ABCにおいて、BC>ACならば∠A>∠B」の証明
(2)上の逆の証明
(3)定理「三角形の2辺の長さの和は、他の1辺の長さより大きい」の証明
この3つの証明を教えてください。
解答
(1)
△ABCにおいて、BC>ACであるとき、BC上に点DをCD=CAとなるようにとる。
定理5より∠CAD=∠CDAであり、定理16より∠CDA>∠CBAである。
また明らかに、∠CAB=∠CAD+∠DAB>∠CAD
であるので、
∠CAB>∠CBA
が言える。
(2)
△ABCにおいて、∠CAB>∠CBA であるとする。このとき、ACとBCの大小について、
以下の3通りが考えられる。
1) BC<AC
2) BC=AC
3) BC>AC
もし、BC<AC であるとすると、(1) の結果より、∠CAB<∠CBA
となり、∠CAB>∠CBAに矛盾する。
もし、BC=AC であるとすると、定理5より∠CAB=∠CBA
となり、やはり矛盾する。
よって、必ず、BC>AC でなければならない。
(3) △ABCにおいて、BAの延長上にAD=ACとなる点Dをとる。
BC と AB+AC を比較する代わりに、BC
と BD を比較すればよい。
図において、AC=AD より、∠ADC=∠ACD(定理5)
∠BCD=∠ACD+∠ACB>∠ACD=∠ADC
よって、△DBCにおいて、∠BCD>BDC
なので、(2) の結果より、
BD>BC となり、BC<AB+AC がいえる。
参考文献:遠山啓「数学入門」(上)140〜143ページ:岩波新書
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