三次方程式の解の公式
三次方程式 x3+ax2+bx+c=0 の一般解を求めます。
基礎知識1
三次方程式 x3=1 の解を求めてみます。
x=1 が解の1つであることは明らかなので、x3−1=0 の左辺を x−1 をくくり出して因数分解すると
(x−1)(x2+x+1)=0
よって、他の2解は x2+x+1=0 の解となります。実際に解いてみると、
(i は虚数単位)
となります。このうちのひとつを とおくと、もう一方は
となります。
この ω、ω2 を、1の原始3乗根といいます。(1の原始n乗根とは、n乗して初めて1になる数です)
ω に関して次の式が成り立ちます。
ω3=1
ω2+ω+1=0
基礎知識2
x=u+v
x=ωu+ω2v
x=ω2u+ωv
を解にもつ三次方程式を考えます。条件より
{x−(u+v)}{x−(ωu+ω2v)}{x−(ω2u+ωv)}=0
展開して
x3−{(u+v)}+(ωu+ω2v)+(ω2u+ωv)}x2
+{(ωu+ω2v)(ω2u+ωv)+(ω2u+ωv)(u+v)+(u+v)(ωu+ω2v)}x−(u+v)(ωu+ω2v)(ω2u+ωv)=0
x3−{(ω2+ω+1)u+(ω2+ω+1)v}x2
+{(ω2+ω+1)u2+(ω2+ω+1)v2+3(ω2+ω)uv}x−{u3+(ω2+ω+1)u2v+(ω2+ω+1)uv2+v3}=0
x3−3uvx−(u3+v3)=0
つまり、x2 の項がない三次方程式 x3+bx+c=0 の解は、
b=−3uv、 c=−(u3+v3)
となる、u、v に対して、上のように書けます。
準備1
三次方程式 x3+ax2+bx+c=0 において、x=y−a/3 とおくと、
(y−a/3)3+a(y−a/3)2+b(y−a/3)+c=0
(y3−ay2+a2y/3−a3/27)+a(y2−2ay/3+a2/9)+b(y−a/3)+c=0
y3+(−a2/3+b)y+(2a3/27−ab/3+c)=0
これで、x2 の項がない三次方程式が出来ました。
解きます
m=−a2/3+b、n=2a3/27−ab/3+c
とおくと、上式は
y3+my+n=0
と書けます。
m=−3uv、 n=−(u3+v3)
となる、u、v を見つけることを目指します。
u3v3=−m3/27、u3+v3=−n
より、u3、v3 は、二次方程式
x2+nx−m3/27=0
の2解となります。その一方をα(実数とは限らない)とすると、uはαの三乗根の1つ、
vは、v=−m/3u となります。
よって、これら u、v に対して、
x=u+v−a/3、ωu+ω2v−a/3、ω2u+ωv−a/3
が、三次方程式 x3+ax2+bx+c=0 の解となります。
実際の問題を解きましょう
答えが明らかな三次方程式、例えば、
(x−1)(x−2)(x−3)=x3−6x2+11x−6=0
を、この方法で解いてみます。途中で、いかにも因数分解できそうなときも
公式の通りに進めます。
x=y+2
とおくと、
(y+2)3−6(y+2)2+11(y+2)−6=0
整理して、
(y3+6y2+12y+8)−6(y2+4y+4)+11y+22−6=0
y3−y=0
ここで、上記において、m=−1、n=0なので、u3、v3 は、二次方程式
x2+1/27=0
の解となります。これを解いて
x=±√3i/9
√3i/9 の三乗根の一つは、
u=(3+√3i)/6
v=−m/3u=2/(3+√3i)=(3−√3i)/6
これらに対して、
u+v=1
ωu+ω2v=(−1+√3i)/2×(3+√3i)/6+(−1−√3i)/2×(3−√3i)/6=−1
ω2u+ωv=(−1−√3i)/2×(3+√3i)/6+(−1+√3i)/2×(3−√3i)/6=0
それぞれ 2 を足して、
x=1,2,3 を得ます。
これは、非常に簡単な例であり、普通は、最終的な解が整数であっても、
複雑な計算になります。
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