二次方程式の基礎
ここでは、一次方程式を解くことは十分にマスターしたものとして、
二次方程式の解法を説明します。
特にことわりのない限り、√a と書いた場合、a≧0
であるものとします。
a<0 の場合は、高校以上で習います。
1. x2=a を解く
まず、もっとも基本となる、このような形の方程式です。
例 (1) x2=4 (2) x2=6
(1) の意味は、「2乗して4になる数を求めよ」ということです。
これは、公式もなにもありません。答えを見つけるのみです。
「2乗して4になる数」は、2と−2です。 2次方程式の解はこのように通常2つあります。
つまり、(1) の解は、
x=2 または x=−2 です。これを、x=2,−2 と書いたり x=±2
と書いたりします。
同様に、(2) の解は x=±√6 です。
一般に、x2=a の解は、x=±√a です。
とくに、aが0のとき、つまり、x2=0 の解は、x=0 であり、このときに限り解は1つです。
これは元々2つあった解が、その差がなくなって0になったものと考えます。
このような解を重解といいます。
2.(x−t)2=a を解く
このような形で方程式が与えられることは少ないですが、次のステップへの重要な
過程ですので、説明します。
この式は、1. の x が x−t になったものです。そこで、
X=x−t
とおくと、X2=a となり、1. と同じ式になります。
Xについて解くと、 X=±√a であり、
X=x−t
を考慮すると、x−t=±√a より、
x=t±√a
が、最終的な解になります。
これも、a=0 のとき重解となり、x=t が解となります。
例 (1) (x−2)2=4 (2) (x+3)2=6
(1) は x−2=±2 より、x=0または4
(2) は x+3=±√6 より、x=−3±√6
です。(2)のように√ が残るときは、±√の形に書き、(1)
のように√がはずれる
ときは、2±2 とせず、計算して 0,4
と書くのが普通です。
3.x2+bx+c=0 を解く。
例 (1) x2−6x+8=0 (2) x2+4x+2=0 (3) x2+5x+6=0
いよいよ、一般的な形に近づいてきました。
ここで、考えることは、なんとかして2.のような形にならないか、ということです。
そこで、x2 と x の項だけに注目して、定数項(数字だけの項)で、つじつまを合わせることを
試みます。
(1) x2−6x+9 であれば、(x−3)2 になりますね。そこで、元の式と比べて、
両辺に1を加えます。
x2−6x+9=1 より、 (x−3)2=1 となります。
また、9を足して9を引く、つまり
x2−6x+9−9+8=0 として、(x−3)2−9+8=0 より、(x−3)2=1 とすることも出来ます。
(x−3)2=1 は2.の形ですから、即座に解けて、
x−3=±1 より、x=2,4 です。
(2) 同様に、x2+4x+4=(x+2)2 であることより、4を足して引いて
x2+4x+4−4+2=0 より、(x+2)2=2 を得ます。
これを解いて、x+2=±√2 より、 x=−2±√2
です。
(3) (x+5/2)2=x2+5x+25/4 を利用します。
分数になってイヤですが、頑張って計算しましょう。
25/4 を足して引いて
x2+5x+25/4−25/4+6=0
(x+5/2)2−25/4+24/4=0
(x+5/2)2=1/4
これを解いて、x+5/2=±1/2・・・(2乗して
1/4 になる数は ±1/2 です)
x=−2,−3
ここまでの、1.、2.、3.の流れをよく理解してください。
1.が一番の基本で、それを元にして2.、2.を元にして3.が解けるようになっていますので、
一つずつ確実に理解してください。
さらに一般的な形として
2x2+3x+5=0
のような形(x2の係数が1以外の場合)もありますが、このような場合は、両辺をxの係数で割って、
x2+3x/2+5/2=0
とすれば、3.と同じ形になります。
ここまでが理解できたら、次に進みましょう。
つぎは、より楽に解く方法です。
4.因数分解を利用する
方程式 x2+bx+c=0 の左辺が、(x−α)(x−β) の形に因数分解できたとしましょう。
(x−α)(x−β) は x−αという数とx−βという数をかけたものです。
それが0になるということは、少なくともどちらか一方が0である、ということです。
つまり、 x−α=0 または x−β=0 です。
よって、この方程式の解は、x=α または x=β となります。
3.の(1)(3) も実はこの方法が利用できて、
(1) x2−6x+8=0
左辺を因数分解して、
(x−2)(x−4)=0
よって、x−2=0 または x−4=0。これより、
x=2、4
(3) x2+5x+6=0
左辺を因数分解して、
(x+2)(x+3)=0
よって、x+2=0 または x+3=0。これより、
x=−2,−3
一般に、ax2+bx+c=0 の左辺が a(x−α)(x−β)
の形に因数分解できるならば、
この方程式の解は、x=α、βです。
逆に、ax2+bx+c=0 の解が、x=α、β ならば、
ax2+bx+c=a(x−α)(x−β)
のように因数分解できる。
5.解の公式
二次方程式 ax2+bx+c=0 をa、b、cが定数であるとして、xについて解いてみます。
考え方は3.の方法です。
ax2+bx+c=0
両辺をaで割る ・・・ 2次方程式であるのでa≠0は明らかですから、割っていいのです。
x2+bx/a+c/a=0
(x+b/2a)2=x2+bx/a+b2/4a2 より、b2/4a2を足して引いて、
x2+bx/a+b2/4a2−b2/4a2+c/a=0
変形して
(x+b/2a)2=b2/4a2−c/a
右辺を整理して
(x+b/2a)2=b2/4a2−4ac/4a2
(x+b/2a)2=(b2−4ac)/4a2
これを解いて、
x+b/2a=±√{(b2−4ac)/4a2}
x+b/2a=±√(b2−4ac)/2a ・・・ 2aは√の外です。
b/2a を移項して、
x=−b/2a±√(b2−4ac)/2a
分母が共通なので、まとめて、
これを二次方程式の解の公式といいます。
解の公式を使えば、
3x2−7x+3=0
のような方程式も、a、b、c に 3,−7,3
を代入して、
x={7±√(49−36)}/6=(7±√13)/6
のように、解くことが出来ます。
それだけではなく、因数分解がやりにくいような場合、
たとえば、x2+6x+3 を因数分解するような場合、
x2+6x+3=0
を、解の公式によって解き、
x={−6±√(36−12)}/2
=(−6±√24)/2
=(−6±2√6)/2
=−3±√6
これを、(x−α)(x−β) の α、βに代入し
(x+3−√6)(x+3+√6)
のように因数分解できます。
※この場合は、x2の係数が1ですので、これでいいですが、一般には、
a(x−α)(x−β)のように最初にx2の係数が付きます。
補足 判別式
解の公式に b2−4ac という部分がありますが、これはときには
マイナスになるときもあります。(例 x2+2x+2=0 のとき、b2−4ac=−4)
このようなときは、中学の範囲では「解がない(正確には実数の範囲で解がない)」
となります。(高校以上では、「異なる2つの虚数解」)
これは、1.や2.で、a<0である場合にあたります。
また、b2−4ac が 0 になるときもあります。(例 x2+2x+1=0)
このようなときは、重解になります。
このように、b2−4ac が正、0、負 によって解の形が変わります。
この b2−4ac を判別式といい、判別式が
正のとき・・・解は2つ(実数の解が2つ)
0のとき・・・解は1つ(重解)
負のとき・・・解なし(実数の解はなし)
となります。解の数を判別するというわけです。
2次方程式とグラフの関係は、さらに深い内容になりますが、中学では(たしか)習わないので、
省きます。
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